第六話 辰田製作所 辰田敬美さん

吉野なひと 50人

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第六話 辰田製作所 辰田敬美さん
~箸をクリエイトする人代表~

辰田さんは吉野町国栖地区で割り箸を製造・販売している方です。
がっしりとした身体から、溜めた息を押し出すように、低い声でゆっくりと、丁寧に話をされます。
ふっくらとした、優しい感じの手のひらを動かしながら、考えては言葉を継ぎ、考えては言葉を継ぎしながら、自分のこと、割り箸のことを話して下さいました。
今回は、私の聞き書きで、ご本人からの文章はありませんのでご了承下さい。
「まぁ適当に書いといて」ということです。



 


私は、この1年ほどの間に6ヶ所、吉野の割り箸製造業者さんをお訪ねしたのですが、どこの工場も個性豊かで、事業主の方の割り箸作りへの思いは並々ならぬものがあります。
作り手も個性豊かなら、そこに置かれている機械も個性にあふれていて、ここの主人の指示にしか従わないと主張しているように見えます。
この辰田製作所さんも同じで、人も作業場も作り手の想いを強く感じます。







用途や形が決まっているお箸はどのように工夫しても限度があるような気がします。しかしそんな私の拙い想像力をあざ笑うように、辰田さんを始め、お会いした方々は割り箸のことを語るのです。

普段に何げなく使っている割り箸に、これだけの思いを込めているのかと感動し、製造業の根幹は、良いものを届けたいという純粋な思いではないのかと、改めて知るのです。







辰田さんは割り箸を作る傍ら、一本箸(割る必要のない箸)も多く作っておられます。
これは以前に宮崎県の日南市から「飫肥杉」で割り箸が出来ないのかとの相談があり、割り箸は出来ないものの、一本箸ならできると提案したことが切っ掛けになったようです。
それ以来、日本の至る所から木の端材で箸を作って欲しいという依頼があり、バットから太鼓のバチ、碁盤まで、削っては箸に仕立てています。
最近は、チーク、カリン、ウォールナットなどでお箸を作っておられます。


上からチーク、カリン、ウォールナット、チェリー、ナラ、カバ

吉野桧(右)・吉野杉(左)を使った無垢のお箸
辰田さんは「白木箸」と命名されました。

東吉野にある京都大学の演習林から切り出した木の余材を使って、長さ50㎝の箸を製作され、このお箸は、京都大学の卒業記念に学長自らが学生に手渡すセレモニーに使われました。

辰田さんの作るお箸は完成度が高く、実に仕上がりが美しいのです。
最近は、お箸を入れる箱を吉野杉と吉野桧で作られていますが、この箱もパッと見て良いなと感じさせる力があります。


吉野杉を使った箸箱(吉野数寄箱)と白木箸のセット

若い頃の職業をお聞きして美しさの秘密に納得したのですが、28年前父親の後を継ぎに吉野に戻る前は、大阪の家具メーカーで椅子や机などを作っておられたそうです。

その家具メーカーでも毎日同じものを作るのが嫌いで、常に新し形を模索していたとのことです。
家を継ぐため吉野に戻ってからも、割り箸の可能生を求めていろいろなもの作り出しておられます。
辰田さんは自分の可能性に賭けるように、ものづくりをしています。
割り箸職人の領域を超えて、辰田さんの活動は多岐に渡っています。
辰田さんの作った箸が、日本民芸館の一角に陳列される日も近いのではないのかと、想像してしまいます。









吉野スタイルでは、辰田さんの作った箸箱(吉野数寄箱)を、吉野スタイル仕様で、来年一月から販売させて頂こうと思っています。またホームページでご案内致します。

辰田製作所では木の端材からお箸を作る依頼も引き受けておられます。

詳しくはこちらをご覧下さい。

辰田製作所 辰田敬美(よしみ)
住所〒639-3437奈良吉野郡吉野町南大野648

電話番号:0746-36-6205
FAX番号:0746-36-6284

 

 

 

 

 

 

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