岩崎平太郎の建築を巡る⑤

吉野山を歩く 近鉄吉野線百周年ゆかりの地

白雲荘

岩崎平太郎の吉野における最高傑作は、吉野山にある白雲荘でしょう。

この白雲荘は、吉野鉄道の社長だった阪本仙次の別荘として、主屋、茶室、管理人の家からなり、茶室を除く2棟は、武田五一の指導の元、岩崎平太郎によって設計され昭和2年に作られました。川崎智生氏の著書によると、「・・・主屋は木造平屋建てながらも、地階が鉄筋コンクリート造となる。アプローチ側からは平屋、崖側からは二階建てという構成をとり、西斜面の崖上に張り出した「天上」の建物のひとつとなる。桜の季節は眼下に一面、桜の花や薄桃色が広がる。雨の日には霧が立ち込め、下界はまさに雲である。 (中略)  その見所は、伝統的な数寄屋の手法に加えて、ところどころに顔を出すヨーロッパの新しい建築デザイン、セセッションやアール・ヌーボーに影響を受けた意匠にある。数寄屋を端的に示すものは、玄関の間のまわりを廻る畳を敷かれた廊下にあって、表しの天井は化粧垂木を廊下の内側と外側に視覚的に連続させる。廊下のガラス戸の向こうはコンクリートのバルコニーとなり、絶景の景色が広がる。・・・」

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