伊勢街道の上市⑥ 北村家

吉野中央部 上市周辺

先日ご紹介させて戴いた北村家に、地元のスマイルバスツアー常連のお客様から、内部を見せて戴けると伺ったので先日お邪魔しました。ここの主によると、この北村家は明治20年頃の建物で、築130年経過した建物のようです。中に入るとすぐ左に初代主の奥様が、吉野山から輿入れした際の籠が飾ってあり、そして正面には夏場用の白地の暖簾が飾られていました。十月には紺地の暖簾(写真)が飾られるようです。谷崎の「吉野葛」の一説「・・・歩きながら薄暗い格子の奥を覗いて見ると、田舎家にはお定まりの、裏口まで土間が通っていて、その土間の入口に屋号や姓名を白く染め抜いた紺の暖簾を吊っているのが多い。」この記載にぴったりの暖簾でした。上市には北村又左衛門家(北村本家)という大林業家があります。分家としては清酒「猩々」も醸造する北村宗四郎家。そして、この北村家は更なる分家にあたり北新と呼ばれていました。この初代も林業を営んでおり、屋敷内には山守が住んだ部屋もありました。この暖簾の右上にある北という漢字を菱型にアレンジした意匠は北村家独自のデザインで、谷崎の暖簾にも、きっとこのロゴのある暖簾だったのではないでしょうか。

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