吉野葛を歩く② 上市

吉野中央部 上市周辺

吉野葛を歩く② 上市の町

吉野葛では上市の町を、このように描写しています。

「・・・黒い煤けた格子造りの、天井裏のような低い二階にある家が両側に詰まっている。歩きながら薄暗い格子の奥を覗いてみると、田舎家にはお定まりの、裏口まで土間が通っていて、その土間の入口に、

屋号や姓名を白く染め抜いた紺の暖簾を吊っているのが多い。(略)

建物の古いわりに、どこの家でも障子の紙が皆新しい。今貼りかえた

ばかりのような汚れ目のないのが貼ってあって、ちょっと冷え冷えと白い。(略)とにかくその障子の色のすがすがしさは、軒並みの格子や建具の煤ぼけたのを、貧しいながら身だしなみの良い美女のように、清楚で品よく見せている。私はその紙の上に照っている日の色を眺めると、さすがに秋だなという感を深くした。・・・」当日は上市の町を歩いて戴き、谷崎が来た時にもあったと思われる「三奇楼」で「吉野葛」の朗読をしていただきます。

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