内田康夫「天河吉野殺人事件」②

吉野を訪れた文人

内田康夫「天河伝説殺人事件」では、このような記載もあります。

歌書よりも軍書に悲し吉野山

古来、幾百幾千とも知れぬ歌人や文学者によって詠われてきた戦いの歴史が描きだした「滅びの美学」を凌駕することは出来ないという。それほどに、吉野山には歴史の哀歓が色濃く投影されている。ことに、南朝の衰亡や源義経が吉野衆徒に追われて逃げたコースとほぼ重なっているのが、「上の千本」を縫うようにゆく「吉野・大峯ドライブウェイ」である。その終点は金峯神社で、この神社には吉野総地主神が祀られている。金峯神社社務所の裏手に「義経隠れ塔」というのがある。NHKの大河ドラマにも描かれた、義経主従の吉野脱出劇最後の舞台になったところだ。迫りくる追手から逃れるために、佐藤忠信が独り残って奮戦した話で知られる。金峯神社までは車で行けるが、ここから先「奥の千本」から大峰山へ行く道は女人禁制ならぬ、車の入れない山道で、今でも山伏修行の入山口だし、大峰山登山ルートの一つになっている。

大峯ケーブルバス停の奥千本口です。

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