白洲正子のかくれ里 水分神社

吉野山を歩く

水分神社2

蔵王堂の次にご案内するのは水分神社です。かくれ里の中で水分神社の事をこのように記されています。「この神社には、有名な玉依姫の命の神像が祀ってあるが、水分というからには、吉野山ではもっとも古い霊地の一つであろう。女人禁制の山に、蔵王権現と並んで、美しい女神が在すのはおもしろいことで、行者にいわせれば、それこそ陰陽合する所に万物は生ず、と説くかもしれない。密教には、手で結ぶ印にしても、妙にエロティックな雰囲気があり、そういうものが古代のミアレの信仰と、うまく結びついたのではあるまいか。「山は産なり」で、なんでも生み出すものとして崇拝された。水分はククバリからミコモリと化して多産の神様となったが、本質的に変わったわけではない。万物を生む神であってみれば、山は女体と見られたに違いないし、役行者が望んだのは、そういう女神と結婚することではなかったか。彼は山に憑かれ、山に恋した、生まれながらの自然児であった。人間の女人を拒絶したのは当然のことである。」

 

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