語り伝える吉野の民話② 「井光の井戸」 伝承地:吉野町飯貝

吉野中央部 上市周辺

井光井戸

吉野町飯貝の水分神社には「井光の井戸」と呼ばれる井戸があ

ります。昔、神武天皇が九州から大和に来られた時に、吉野のあたりを通られました。杉の木の根っこに井戸があって、井戸の中からもの凄い光が射してきました。井戸の中から尻尾にある小さな人が出てきて神武天皇の前にひれふしました。神武天皇が驚いて、「お前は何者なのだ。」と尋ねると尻尾のある小さな人は、

「私はこの吉野に住んでいるものです。あなたが大和に来られたと聞いて、道案内をして差し上げようと思っていたのです。あなたをお待ちしていました。」とこたえました。

神武天皇は喜んで道案内をしてもらうことになりました。道案内のお蔭で神武天皇は山を越えて、とうとう橿原にたどり着くことが出来たということです。

それ以来、尻尾の有る小さな井戸を、「井戸が光る」ということで、「井光の井戸」と言うようになりました。

またこんな話も伝わっています。井戸の中から現れたのは尻尾のある人ではなく、「井光」という名前のお姫様であったというのです。そして、このお姫様が神武天皇の道案内をして神武天皇をお助けしたということです。それからこの水分神社のあるあたりをお姫様の名前である「井光(いびか)」がなまって、「飯貝(いいがい)」と言うようになったということです。

また、この地で神武天皇が、貝をおかずにしてご飯を召し上がったので「飯貝」と呼ばれるようになったとも伝えられています。

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