白洲正子「かくれ里」の吉野⑤

吉野山を歩く

法弓

 

現在、行者の数は七、八十万、一説には百万にものぼるといわれている。その大部分は、巽さんのような専門の山伏ではなく、本職は別にあって、毎年山開きとともに日本全国から集まってくる。山伏といえば、明治の廃仏毀釈で廃されたはずだっだが、伝統の力に法律はかなわない。戦後、宗教の自由が認められて、いよいよ盛んになり、この頃は増える一方と聞く。私たちの知らないところで、役行者の子孫たちが、オンアビラウンケンソワカと唱えつつ、大峰山を闊歩しているとは、なんとも不思議な現象ではないか。 

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