谷崎潤一郎の「吉野葛」①

吉野を訪れた文人

六田

昭和初年の吉野の様子が、いきいきと描写がされている小説として、

谷崎潤一郎の「吉野葛」があげられます。谷崎は大正11年と15年に

吉野を訪れています。

「吉野葛」は昭和6年の「中央公論」で掲載されました。

この小説は、紀行文と間違うほど、吉野各地の風景が出てきます。

そんな情景描写が、実際に吉野川を下流から上流にかけて旅するように紹介されています。まずは吉野の入り口「六田」から紹介しましょう。

 

・・・吉野口で乗り換えて、吉野駅まではガタガタの軽便鉄道があったが、

それから先は吉野川に沿うた街道で出かけた。『万葉集』にある六田の淀―柳の渡しのあるあたりで道は二つに分かれる。右へ折れる方は桜の名所の吉野山へかかり、橋を渡ると直に下の千本になり、関屋の桜、蔵王権現、吉水院、中の千本、-と、毎年春は花見客の雑沓する所である。私も実は吉野の花見には二度来たことがあって、幼少の折上方見物の母に伴われて一度、そののし高等学校時代に一度、やはり群集の中に交りこの山道を右に登った記憶はあるのだが、左の方の道を行くのは始めてであった。・・・

スマイルバス停は美吉野大橋南詰です。



 

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